きのけんぶろぐ

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「新人はメモを取れ」は時代遅れ - 新人の能力に教育コストを丸投げするな

氷河期世代おじさんの私が20代の頃、新人は小さな手帳を用意し、先輩から教えてもらったことを逐一メモしていた。

自主的なのか命じられたからなのか、そういうものだと思ってそうしていた。

これはあらゆる業種・職種で人手不足だという令和の時代も有効なのか。

 

私自身は転職直後でもメモはとらない。何度も新人を繰り返して覚えるのが慣れてきたし、メモとる手間より習得に全ブッパする。

もちろんすべてを一度に習得できるわけではないから繰り返し聞く。それで小言をもらうこともあるが、それも含めてメモを取らない戦略でいく。

そんな「新人はメモを取れ」の有用性について議論し、そこから別のスキームを模索していこう。

 

まず新人がメモをとるメリット・デメリットを列挙する。

メリット

  • 自分だけのマニュアルができる
  • あとで聞き返すストレスを回避できる
  • 熱心さをアピールできる

 

デメリット

  • 新人のメモ取り能力に依存
  • メモをとることに集中して教育内容が浸透しない
  • メモを紛失したら生産性が落ちる場合がある
  • あくまで新人当人のものであるため、職場で共有できない

 

一番のメリットは聞き直す手間を省けることだろう。とくに新卒で入社した場合、先輩に聞き返すのはストレスがかかる。

かといって聞かずにやってミスすると余計にややこしい。必ず「前に言ったろ」か「どうして確認しない?」のいずれかを言われることになる。

これを回避できるのが最大のメリットだ。

 

他方でデメリットもある。

まず、そのメモがきちんと取れるのが前提だ。

メモ取りがヘタクソだと目も当てられない。読み返しても意味が分からず、結局は「前に言ったろ」か「どうして確認しない?」と言われることになる。

どうせ言われるならメモとる手間の分だけ損した気持ちになりそうだ。

 

そして、メモをとった当人にとっては有用だとしても、当人以外にメモが共有されない点で職場全体では大して有益ではない。

新人にクローズするだけでは「新人はメモを取れ」の有用性が確認できない。

 

では職場から見たメリット・デメリットを列挙しよう。

メリット

  • 何度も教える手間が省ける
  • 新人の意欲評価につながる
  • 職場で教育マニュアルを整備するインセンティブを下げられる

 

デメリット

  • メモに集中し過ぎて教えたことが入っていかない
  • ポーズだけでメモ取りしていてスキルアップにつながらない
  • メモそれ自体が新人個人にしかリターンしない
  • メモを紛失すると教育効果が失われる

 

新人個人の立場だった場合、それは何度も先輩に確認するストレスから解放されることが第一義になったが、これが職場目線になった途端、新人のメモ取り能力に全てが依存してしまいメリットも大半がスポイルしてしまう。

新人のメモ取りがうまければ教える手間が省けるし、職場でマニュアル整備するインセンティブも下げられる。いろいろとコストを削減できるような気がするが、それは新人のメモ取り能力次第だ。

ダメダメなメモ取り能力ならば、結局は何度も教えることになるし、メモ依存が強くなればメモ紛失と同時に教育効果も失われる。

 

新人のメモ取り能力に依存せざるを得ないなら、職場はマニュアル整備した方が教育コストを下げられる。

確かにマニュアル整備にかかるコストは小さくないにせよ、新人個人の能力依存で職場の教育の質を担保するというのはうまくない。

メモ取りがうまい人間だけ採用するのか? ほかに必要なスキルを差し置いても? あるいはただ単に採用ハードルを上げるだけか? この人手不足が言われる時代に? 正気か。

 

わたしはマニュアル整備することのメリットの方が、「新人はメモを取れ」とするメリットを上回ると考える。

職場のマニュアル整備をすることで教育の質を担保できるし、言語を共通化することで職場内の意思疎通を簡易にすることができる。

結局、教える側も学ぶ側も、それぞれの言葉を駆使してしまうと職場にスキルがストックされていかない。そうではなく、同じ言語を用いることでコミュニケーションをショートカットできる。その端緒をマニュアルによってつかむことができる。

 

それがゆえに私はメモを取らない。

メモ取りが面倒という個人的な動機が全くゼロじゃないが、それよりも教育がバラバラで受け手が個人のメモでしかスキルをストックせず、職場で共有できない方がよくない。

わたしの職場も手順書を用意はしているが更新がされていないし、また内容が十分でもない。「新人はメモを取れ」をやる職場は、大なり小なり似たようなものだと思うがどうだろうか。

 

私自身は個人用のメモをとるくらいならマニュアル整備させろと思っている。何か言われたら「手順書ありますよね。そこの手直しをしたいんですがどうでしょう?」とやるつもりでいつも気を張っている。

早く私のトラップに誰か引っかかれと思っているが、その意を察知しているのかいないのか、今のところ、誰もわたしがメモとらないことにツッコミを入れてこない。もうこっちから言い出すしかないんだろうかと思ったりする。

 

実はそっち方面でジャブを打ってはいるが、こっちもあんまり芳しくない。現場でマニュアル整備するものじゃないと思っているらしい。

「じゃあ、誰が?」となるが、これが綱引きになっている。

現場は事務所の人間にやらせたがるし、事務所の人間は現場にやらせようとする。どっちもリソースが足りないし、「うっせえわ」と思っている雰囲気がビシビシ伝わる。だが、そうやってほったらかすから教育コストが高いままではないかと思っている。

 

みなさんの職場はどうか。新人にメモをとることを要求しなくて済むほど十分な教育環境が整備されているのだろうか。それとも今も「新人はメモを取れ」を絶賛継続中なのだろうか。