きのけんぶろぐ

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アメリカ・イスラエルは戦費キャップ上限まで止まりそうにない戦争をなぜ選んだのか

アメリカ・イスラエル、そしてイラン。

パキスタンの仲介により不安定ながらも停戦に向けた動きがあった。

イスラエルによるレバノン攻撃も、アメリカのトランプ大統領がいさめる形で一応のブレーキとなったように見える。

 

が、そもそも終戦に向けたゴール地点が違う三者が、停戦はともかく終戦に収束していくルートが想像できない。

大国アメリカの政治リーダーが朝令暮改の発言を繰り返す中、何がキーになるのかは到底見通せない。

 

そこでフィアロンの合理的戦争原因論を用いて、まずは大前提を整理すべきでないかと思う。その上で日本がどういう立場をとるのか検討するのが妥当だろう。

 

フィアロンの合理的戦争原因論とは、戦争発生の要因を以下の三つだと指摘したもの。

  1. 情報の不確実性:相手国を弱小と判断、軍事による解決を選択する
  2. 価値の不可分性:政治や宗教など特定価値において妥協できない争点が存在する場合に軍事を選択する
  3. コミットメント問題:国家間の合意が現に履行されない、もしくは将来的に履行が見通せない場合に軍事を選択する

 

アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃についてこれを用いて説明すると

  1. 軍事力の量的差により妥当だと判断して攻撃した(情報の不確実性)
  2. 地域における核保有を認められないとして攻撃した(価値の不可分性)

となる。

 

対してイランにおける報復攻撃は以下と解釈できる。

  1. 比較的安価な攻撃を高価な迎撃手段を消費させ長期的に優位(情報の不確実性)
  2. 宣戦布告なしの先制攻撃により政治指導者を排除された(価値の不可分性)
  3. 一方的にアメリカ(第一次トランプ政権)が核合意を離脱し、昨年の12日間戦争に続き攻撃を発出した(コミットメント問題)

 

イランが軍事的に劣勢とみる人たちもいるだろうが、実際にはドローンなど安価な攻撃をアメリカ・イスラエルは高価な迎撃ミサイルで対抗している状況で、初期においてはイランの攻撃は防がれたが、繰り返されることにより迎撃手段が不足、調達が困難になっている。

 

2万ドルの無人機を400万ドル使い迎撃-イランの安価な攻撃で消耗戦に - Bloomberg 

米国製のパトリオット防空ミサイルはイランのシャヘドやその他の弾道ミサイルの阻止におおむね成功しており、迎撃率は90%を超える。

ただ、2万ドル(約315万円)のドローンを破壊するのに400万ドルのミサイルを使用する

 

これにより、必ずしもアメリカ・イスラエルが軍事的に優位とは言えない。

 

アメリカ、イランはともかく、イスラエルは終戦はもとより停戦さえも興味がない。

 

イスラエル野党指導者ら、ネタニヤフ首相を一斉非難 対イラン停戦めぐり 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News

左派民主党のヤイル・ゴラン党首はXで、今回の停戦をネタニヤフ氏の「戦略的失敗」と評した。

「彼は歴史的勝利と何世代にもわたる安全保障を約束したが、実際にはイスラエル史上最も深刻な戦略的失敗の一つを招いた」「これは完全な失敗であり、今後何年にもわたってイスラエルの安全保障を脅かす」と述べた。

 

左派勢力ですら、こうした主張でネタニヤフを責め立てている。

レバノン攻撃は停止するとしたが、レバノンの武装組織ヒズボラへの攻撃を否定しないイスラエルの態度は、こうしたことが背景にある。

 

そうすると外交によって停戦できる可能性は極めて低いとしか思えない。

もはや戦費負担によりアメリカ・イスラエルが攻撃続行できなくなるまで停戦できないのではないか。

アメリカにしろ、イランにしろ、双方の立場では停戦はともかく終戦に至る道筋がありそうもない。

 

まずもってホルムズ海峡の通航料をイランとの共同徴収をいった翌日には「(徴収は)あってはならない」などという相手にどういう外交があり得るか想像もつかない。

日本に対しても「ホルムズ海峡は日本に安全確保させろ」と言い出したり、同盟国としても信用が置けない存在になりつつある。

民主主義において権力者は常に一時的なものでしかないが、国家間の信用がこんな簡単に崩れていくのを見るのはちょっと信じがたい。トランプ後の世界においても、日米は信頼を取り戻せるのか。

 

そしてアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃は混迷を脱して中東に和平をもたらすことが出来るだろうか。

わたしはまるっきりの素人でしかないが、どう考えてもアメリカ・イスラエルの経済的疲弊からトーンダウンするまで待つほかないように思えて仕方ない。

 

もしありうるとすれば、双方が攻撃を継続、アメリカの経済疲弊がたたって国際社会における地位の転落、これを受けて国際社会からの突き上げに屈するといった現時点では想像もできないゲームチェンジが必要だろう。

そうでもなければ米トランプが引き下がる道理はなく、アメリカの後ろ盾を得たイスラエルは自滅するまで突き進む。とても皮肉に聞こえるかもしれないが、イランはアメリカ・イスラエルが引き下がった時点で停戦に応じる可能性がある。

その上で安全保障の確約、破壊されたインフラ設備の補償と核保有が認められれば、終戦もありうる。

 

ただ、インフラへの補償はともかく、核保有を国際社会が認めるかどうか。これはわたしも認めるべきではないし、イランにしてもアメリカが折れた先の社会で求め続けるこん棒になってはいけないと思う。

 

いずれにせよ、トランプは政治的袋小路にある。まずは今年11月の中間選挙でツケを払ってもらうしかない。