きのけんぶろぐ

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保護猫:テレビとは異なる一時預かりボラの側面について

わたしたち夫婦は保護猫のボランティアをしている。捕獲やTNRもやるが、所属している団体の都合もあり一時預かりすることが多い。

最近はテレビで保護猫・保護犬もコンテンツとして取り扱うようになり、以前とは比べ物にならないくらい浸透しているのではないかと思っている。

他方でテレビはテレビなので、あんなことするわけないと思う場面もしばしばある。

 

そこで本エントリーでは、テレビもその他メディアも入らない私たち夫婦の一時預かりボランティアについて紹介したいと思う。

 

おやつの時間は"祭り"の合図 - きのけんぶろぐに登場しているが、あご下から胸、そして四肢の先が白い黒猫は一時預かり猫のKちゃん。

 

一時預かり猫Kちゃん

 

ちゅ~るを出せばねだってくるし、普段から撫でられるのが好きで先住猫のいないスキを狙って近づいてくる。

もう新しい家族を見つけてもいいと思う。譲渡会デビューも決まっている。

 

しかし最初からこうだっただけではない。

最初は極端なビビり猫だった。

 

ケージの隅、トイレの影に隠れるKちゃん

 

初日はこんな調子で、ケージの隅っこ、トイレの影に隠れてしまう。

手を伸ばすとシャーッと威嚇する。無理に撫でると口を近づけるが噛みつくことが出来ない。そういう感じの臆病で攻撃性は低い性格だった。

 

最初はウェットフードも食べず、ちゅ~るをあげても食べず、鼻先にちょろっとつけても微動だにしない。

猫も最初は警戒心が強くて当たり前だが、ごはんをあげると食べるニャンコは比較的慣れるのが早い。食べないニャンコは難しい。

Kちゃんは後者かな、長くかかるかなと思っていた。

 

しかし数日が経つとドライフードも食べるようになり、食べている最中にそっと背中を撫でる分には抵抗しなくなってきた。

Kちゃんの背中は他で感じたほどがないほど固く、とても筋肉質だと感じた。今にしてみると極度の緊張だったのかもしれない。

 

預かりを始めて一か月ほどになるとわが家の愛犬のそばにいくようになり、だいぶなじんでくる。

 

先住犬Mの背中に隠れるKちゃん

 

どういうわけか、我が家の愛犬Mは猫ウケがよい。イッヌの方は最初こそ「誰だお前?」みたいな顔して様子をうかがうが、馴染み始めると興味を失って知らんぷりになる。

そうなっても、猫はMに近寄りたがる。Mは猫と人間の間にある存在として、我が家の保護猫活動の大事なパートナーだ。

 

そうこうしている間に、妻のトイレ待ちをするようになり、わたしが撫でても逃げなくなった。

ただし抱っこはどうしても苦手らしく、今でも抱えようとすると身をよじって逃げる。

逃げはするが、それで機嫌を悪くすることもなく、しばらくするとまた背中を撫でさせてくれる。

 

テレビではやたらめったらハードルの高い猫を預かって、それをロングスパンで面倒みるケースが目立つが、あれはちょっと現実的ではないような気がする。

野良猫の寿命は短い。飼い猫は大事に面倒を見ると15年ほど生きるが、野良猫はせいぜい5~6年といったところだろう。

そこで一時預かりに一年近くかけるというのは5~6年のうちの1年をボラが奪うという事だ。保護した時点で2歳なら新しい家族にブリッジするときには3歳だ。新しい家族は2年少々しか過ごせない。

しかも、その間は空けられたはずの一時預かりキャパを埋めてしまう。

 

これが許されるのはテレビという構造だけだろう。

テレビだからどれほど難しくてもコンテンツとして茶の間で消費させ、新しい家族を見つける"引き"として転嫁する。

 

テレビじゃないとすると、これは私個人の考えだが、半年過ぎても人馴れしない猫を一時預かりしてもどうしようもないと思う。

猫を保護するという観点ではそれでいいかもしれないが、新しい家族にブリッジするという視点では適切ではないように感じてしまう。

TNRというのも、保護するキャパと増え続ける野良猫を減らすという活動能力の限界と現実の狭間の選択で、あれがベストだとは保護猫ボラをしている私も思っていない。

 

結局は早めに見極めるしかない。

だが、保護猫活動している人は活動に対する理解や熱量や対応もそれぞれで、わたしは早めに見切るべきと思っているが、そうでない人もいる。

どうにもこうにも難しい猫を一時預かりで引き受けたりもするが、正直、あんまり適切だと思ったことがない。

そうやって一時預かりのキャパを埋めている間も保護を必要とする猫はいるわけで、一匹のために複数匹を犠牲にしているんだと思うといい気持ちがしない。

 

一年ほど前になるが、飼育崩壊した現場で保護・TNRをしたことがあるが、あれは大変だった。最初の4匹かそこらは仔猫で早々に新しい家族を見つけることが出来たが、後半に行けば行くほど野良気質の強い猫が残ってくる。

運搬用ケージを抱えて移動しようとしたら、ケージ上部の持ち手にまで手を伸ばして引っかかれたこともある。溶接用の分厚い皮手袋越しに噛みつかれて血が出たこともある。

あれを全部一時預かりで受け入れて新しい家族を見つけるというのは、わたしは無理だと思った。妻はできるだけ助けたかったらしいが、TNRのためと理解してくれたようだ。

 

わたしは割とドライな方だが、妻はどちらかというと可能な限りセーフしたいと思う方だ。

昨年のお盆過ぎ、ミルクやりが必要な仔猫を保護してきた。私たちは夫婦共働きで在宅時間は限られる。ミルクやりなど到底無理だと思った。

しかし妻は近所のやはり保護猫活動している家族にお願いして、最初の期間だけ預かってもらい、9月半ばにはわが家で引き取ると宣言した。夜中に起きだしてミルクをやり、仕事の昼休みに抜け出してミルクをやり、可能な限り面倒をみた。

そんなことされたらわたしも無視できず、夜勤明けの日中にミルクやりするなど分担して引き受けた。

 

その兄弟猫も昨年のクリマスマスに新しい家族をみつけて卒業した。

兄弟猫。そうなのだ。実は4匹を保護し、うち2匹を前述のご近所さんで、残り2匹をわが家で面倒をみた。

最終的には布団に入ってくるなど先住以上の甘えん坊に育って、別れはなかなかつらいものがあった。しかしよい家族に引き取られ、よかったと思っている。

 

新しい家族に送り出すとき、「寂しいですよね」とはよく言われる。

確かにまったく心が動かないと言えばウソになる。

しかし預かり猫は飼い猫ではない。最初から新しい家族を見つけるための人馴れトレーニングとしてわが家にいるのだと思っている。

新しく愛情もって十分なケアをしてくれる家族が見つかったのなら、それに越したことはない。家族にとっても、ニャンコにとってもよいことだ。

 

ちなみに本エントリーはわたしの所属団体の見解ではないし、保護猫活動全体の意見でもない。そういう風に受け取られると困る。

あくまで保護猫ボラしている私は以上のように思う。そういう読み取りをしてほしい。