わたしは夫婦で保護猫活動をしている。団体に所属し、ほかのボランティアが保護した猫を一時預かり、人馴れさせて譲渡会デビュー。新しい家族に迎えられるまでの活動がメイン。
今は若いメスの黒猫が一匹いる。

手足と胸元が白く、しっぽが長い。
名前はKとしておこうか。
Kは昨年のクリスマスを過ぎたころにやってきた。
洗濯ネットに入れられてきたので、これは少々暴れん坊かと思いきや、意外とおとなしい。
手を差し出すとシャーっと威嚇するが、ぐっと近づけても攻撃してこない。いや、猫パンチはしてくるが、爪の出さない前肢でくるので痛くない。
顔もこわばって無表情。ドライフードも全然食べない。水も飲む気配がない。
みんな大好きちゅ~るをあげても食べない。鼻先にくっつけても舐めようともしない。
経験上、食欲を示さない猫は人馴れが難しかったので、このKも長くかかるかと思っていた。
しかし3日も経てばドライフードをパクパク食べる。あまりにがっつくので皿がピカピカになるほど。
こうなるとしめたもの。エサやりのたびに少しだけ背中を撫でる。嫌がったらすぐやめる。大丈夫だったらゆっくり撫でる。
まだ保育園の息子がさわりたがるが、そこは我慢させる。以前、猫に手出しして引っかかれた経験があるので、それを指摘して遠ざける。
そうして2月に入った頃にケージから解放。好奇心旺盛な猫はすぐさま飛び出すが、Kはそういうタイプではなかった。じっとしている。
この時期はまだごはんのときにさわるのは我慢できるが、別に人が好きではないという風で、まだ元野良猫。
ただ、おそるおそるではあったが、先住猫と遊ぼうとするしぐさがみられた。
2月半ばころだったろうか、妻がトイレに立つと出待ちするようになった。
トイレの前でしゃがむと体をスリスリしてくる。
残念ながらオスが嫌いなのか、わたしはまだごはんのとき以外はタッチできなかった。
だが、こうなってくれば早い。
ちゅ~るを手から与えるなどをした結果、今では手を差し出すとペロペロ舐めてくるようになった。
首筋を撫でられるのが好きで、頭をぐりぐり押し付けてくる。
まだ抱っこはできないが、それ以外は立派な飼い猫だ。
猫社会も学習してきているようで、最初は先住を押しのけてエサを食べようとしていたが、今では順番を守ってあとからそっとやってくる。
相変わらず自分のごはんは猛烈な勢いで食べるが、それはそれで安心だ。変に遠慮し過ぎる猫は環境変化できないかもしれない。
Kは一時預かりの猫で、いつかは新しい家族に迎えられる。そのときに先住猫とケンカするようでは困るが、だからといって遠慮一辺倒では飼うのが難しい。何事もバランス。
今では黒猫三匹が当たり前のように過ごしている。
甘えん坊の先住Aが先陣を切って甘えてきた後、すっと入ってくる。
先住を立てながら、きっちり自分も撫でてもらう。甘え上手。
あとは爪切りができれば万全。
いまだに抱っこができないけれど、一度、洗濯ネット越しに爪切りしてみようと思っている。
保護猫は人に爪切りされた経験がないので嫌がるが、何度か経験すると平気になる。
最近はテレビ等で保護猫が認知されるようになってきたせいか、爪切りが難しい猫でも新しい家族が見つかることもあるが、できれば爪切りくらい自宅でできるようになっていた方がいい。
こっちもメドをつけて挑戦するので、めったなことで引っかかれたりはしない。たいがいわたしが確保、妻が爪切り係で、ケガするのは私の役目なのだが。まあ、それはいいだろう。
ちなみにKが卒業したら次がもう待機している。
わが家で一時預かりすると「デレデレになる」と言われる。
一度に預かれるキャパは少ない方だが、譲渡会の顔ぶれを見る限りでは回転が速いようだ。
こちらも新しい猫を迎え、また新しい家族につないでいけるのは楽しい。