氷河期世代は悲惨だ。もちろん氷河期世代にも生き残っている人はいるし、氷河期世代に限らずとも悲惨な人はいる。
だが、これはトレンドの話だ。上の世代は年功序列を逃げ切り、下の世代は高い初任給と順調な賃金カーブで生涯賃金の見通しが立つ。
氷河期世代はどっちもない。上の世代とも下の世代とも違って賃金カーブが抑制されている。
うっすい賃金カーブで働き始めに予定されていた60・65歳から、自身が迎えるころには70歳まで働くことが想定される。うっすいうっすい賃金で。
これを以下に示していきたい。
文字数は内容に対して少なめの2000字以下、グラフにより視覚的にも把握しやすく工夫した。データと雇用経済の将来見通しから氷河期世代のトレンドを示す。
あまり楽しいとは言えないが、とはいえ見ざる聞かざる言わざるでは誰も解決してくれない。せめて「見ざる」から逃げるのはやめよう。あなたの「見る」にわたしが伴走する。
世代間の賃金カーブの変化は図5 賃金カーブ|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)のグラフが早い。

男女別で示しているからプロットが多くて見づらいが、以下のように傾向を観ることが出来る。
- 男性は「1995年」>「1976年」>「2024年」になっている。ただしX軸の「55~59」「60~」だけ「1976年」と「2024年」が逆転
- 女性は「2024年」>「1995年」>「1976年」になっているが、いずれも上昇の幅は狭い
高度経済成長期の「夫は外で働き妻は家庭を担う(専業主婦)」から、失われた30年の「夫も妻も働く(共働き)」にシフトしているのが見て取れる。
夫の不足する収入を妻の「社会進出」によって補う。そうやって世帯収入を確保していると推測できる。
これは氷河期世代(「1995年」前期と「2024年」)と上の世代(「1976年」と「1995年」後期)との比較だ。
次に氷河期世代と下の世代との比較だ。
賃金構造基本統計調査から「2008年」「2013年」「2018年」「2023年」をピックアップ、先のグラフと同様に図示する。
基にしたのは一般労働者 > 雇用形態別 > 正社員・正職員計だ。短時間労働者(パートなど)は含まれない。

これでは「2008年」x「70歳~」が突出して高いことしか分からない。そこで一部を抜き出して図示する。
まずは年齢階級「~19歳」「20~24」「25~29」「30~34」を抜き出したもの。

「2008年」と「2013年」がほぼ重なっているが、いずれも年齢が上がると賃金カーブが上昇する右肩上がりになっている。
また「2023年」>「2018年」となっており、若い世代においては日本経済の停滞がないようにも見える。
次に年齢階級「40~44」「45~49」「50~54」「55~59」を抜き出したものを図示する。

ほぼ線が重なっている。しいて強調するなら、年齢階級「40~44」では「2008年」>「2023年」>「2013年」「2018年」であり、年齢階級「55~59」では「2023年」「2018年」>「2013年」「2008年」となっている。
言い換えるなら、氷河期世代は賃金カーブの低いところにある。「55~59」で「2008年」「2013年」が下回っているのはリーマンショックないし定年延長の影響かと思われる。
どうだろう。氷河期世代は上の世代・下の世代いずれの世代とも損な役回りになっているのが分かるだろうか。
そして今後は65歳定年の義務化、70歳までの就業機会確保も努力義務化されており、生涯賃金がさらにうすくうすく引き伸ばされていくのが想像できる。
これは構造だろう。たんなる気分ではない。自己責任ではない。社会の、政治の不作為による犠牲者。
もちろん個々においては氷河期世代でも安定的に収入を得ている人はいるだろうし、上の世代にも下の世代にも救われない人たちはいる。しかし、こうも世代でくっきり落ちくぼんでいるのを自己責任に帰結させるのはあまりに残酷。
政府はよく全国民的に手当てする政策に対し、「65歳以上の高齢世帯」「非課税世帯」と狙い撃ちにするが、そんなものは必要ないのではないか。わざわざ分ける必要なんてない。氷河期世代を含めた現役世代だって大変なのだ。
氷河期世代にクローズアップした政策には期待できない。ここで論じたような構造を把握できないような政府に、適切な政策立案は求めたって得られるとは思えない。
せめて全世帯的にフォローしてもいいと思う。あなたはどう思う? これでも氷河期世代が勝手に騒いでいるだけだと思うか?