きのけんぶろぐ

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今さらゲームレビュー「バルダーズゲート3」:240時間のプレイで分かった自由という名の強制パズル

2023年、海外では多数のゲーム賞を受賞、日本でもwindows他で発売された「バルダーズ・ゲート3」は、日本語のレビューは「非常に好評」と歓迎されているようだ。

わたしもsteamでプレイした。240時間。

 

240時間のプレイ実績

 

途中で投げ出し、新しく初めてまた投げ出して、その繰り返し。act2のムーンライズ・タワーまでが最高到達点。

楽しいと思う反面、もやもやして続けられないことが繰り返された。

この際だから自己分析も含めて「バルダーズ・ゲート3」を丸裸にしようと思う。比較対象は同タイトルの1と2だ。

 

正直に言おう。わたしは「バルダーズ・ゲート3(以下、BG3)」がそれほど好きではない。

多数のゲーム賞を受賞しており、日本語のレビューも「非常に好評」となっている。だが、どうやら日本人ウケしないというのがジワリと根を張る偽らざる評価のようだ。

 

本エントリーを書くにあたり商業記事2本をチェックした。IGNjapanとAUTOMATONでそれぞれ1本ずつ。
正直、あれが商業記事かと思う。海外で多数受賞したBG3をほめたいが、それを受け付けるだけの素養が記者になかったようだ。当人が楽しんだ痕跡を記事から読み取れない。
言いたいことがあるならはっきり言え。

 

こっちの方がよほど正直だと思う。

redditのスレッド。

 

「Baldur's Gate 3」が好きな人いますか? _ r_ja

2年くらい前に発売された「Baldur's Gate 3」っていうゲームが大好きなんだけど、日本では全然人気が出なかったみたいで、殆ど誰もやってない… かなしい🥲

海外の5大主要ゲーム賞?全てで「Game of the Year」獲得したり、いろんな賞を総なめにしたりして、世界的に大ヒットしたらしいんだけど、日本では全然売れなかったみたい...。 (以下略)

 

ちなみにわたしはバルダーズ・ゲート(以下、BG1)及び続編のバルダーズ・ゲート2(BG2)が好きだ。

最近まで確信がなかったが、BG1を久しぶりにさわってみて、BG3がやっぱり受け付けないことを確認することが出来た。

その理由をズバリいこう。

 

  • 自由な攻略という名の強制パズル
  • なんでわざわざダイスロールするんだ?
  • リスペックは容易だが装備選択は不自由
  • クラス育成が複雑でマルチが複雑すぎる
  • ほんとの自由はない

大きく言うと以上の5つ。

順不同にいく。

 

>なんでわざわざダイスロースするんだ?

鍵開け、説得、その他を行動するたび、BG3はダイスロールの演出が入る。

ダイスロール。ほかのゲームでは内的処理され結果だけ出力されるが、TRPGをベースにしたBG3はあえてダイスを振る演出を挿入している。

これが実にテンポ悪い。

 

なんで内的処理できるところを強制で視覚的に判定結果を見せられるんだ?

せめて選択制にすればよかったのに。

BG1と2は選択制。ロールもダイスをわざわざ視覚的に見せたりはしない。テキストで出力するだけ。いたってシンプル。

 

そもそもTRPGをプレイしたことのない層にとっては、なんでダイス振っているのかわかるんだろうか。

発売前後にさんざん商業記事でダイスロールを強調していたから、「そういう味なんだ」とごり押しすれば納得するんだろうか。

 

わたしはTRPGの経験があるが、それでも別にコンピュータRPGで実装してほしいとは思わない。

 

>自由な攻略という名の強制パズル

最近の流行なんだとは思う。油の樽に火を浴びせて爆発させるとか、水に電撃とか、高台から投射物とか。

これらが戦闘のスパイスとして機能しているのなら楽しいと思う。BG3はどうか。

 

実際のところ、これらの手段を使わないと攻略できない戦闘がずっと続く。

 

たとえばこうだ。

序盤、ドルイドの居住地のゲート付近で、ゴブリンをトレインしたドルイドが逃げ帰るところにプレイヤーが遭遇、そのまま戦闘に突入する。なんにも考えずに突撃すると簡単に死ぬ。全滅しないまでも半壊する。

正解は手前の高台に陣取って高所からの射撃をメインにいく。そうすれば比較的安全に討伐できる。

 

この手の戦闘がずーっと続く。

 

act1の終盤はゴブリンのキャンプに突撃するが、その初戦は圧倒的な数のゴブリン&オーガの門番と対決する。これも同じだ。無策で突撃すると簡単に転がされる。

念入りに配置した火薬樽を並べて連鎖する爆発で倒すとか、そういうことをやらないといけない。

やらないといけない。強制なのだ。「ギミックが使える」のではない。「ギミックを使わないといけない」のだ。毎回。

 

しかも常に総力戦。呪文もその他戦闘リソースもフルで使う。そのままでは次の戦闘が通らないから休憩。

BG1も2も休憩はあった。ボタン一つで済む。たまにランダム戦闘はあるが、それは別の利用価値がある。(後述)

 

BG3は違う。シーンが切り替わって野営地になる。野営地では仲間と会話できる。違う。イベント回収のためには会話をしないといけない。

いいような悪いような。いや、ただのリソース回復の手段と思えば、勝手に別の要素が入ってくるのだ。面倒くさい。

 

休憩単体で見れば、イベントのフラグもセットされて楽しいのだろう。

だがBG3の休憩は戦闘とセット。一回の戦闘のたびに休憩。

もっと簡単に休憩させてくれればいいのに。

 

>クラス育成が複雑でマルチが複雑すぎる

BG3はレベル12でカンスト。レベルが上がるといずれかのクラスレベルを伸ばすという形で成長する。

ファイターやクレリック、バード、レンジャーなど12クラス、それぞれに4以上のサブクラスがあって自由に成長させられる。

公式では次のように説明している。

 

11種の種族(人間、ギスヤンキ、ハーフオーク、ドワーフ、エルフ、ドラウ、ティーフリング、ハーフリング、ハーフエルフ、ノーム、ドラゴンボーン)、31種の亜種族、12種のクラスから派生した46種のサブクラス。探索しがいのある丁寧に作られた世界では、600を超える呪文とアクションで無限に近い自由度が実現し、プレイヤーの言動が旅の行方を決めます。独自のキャラクター作成機能はこれまで以上のカスタマイズ性を誇り、どんなキャラクターも実現させます。最大レベル12までレベルアップでき、比類なき遺産を残せるでしょう。

 

なあ、これを大して説明せずに放り出されて「わお、楽しそう!」って思える?

このゲーム、さっきみたいに一回一回がヘビーな戦闘を強いてくるのに。

つまりキャラクター育成も念入りにやらないと素で弱くて戦術以前の話になってしまう。わたしはwikiで情報を拾いながら魅力的なビルドを模索するのが好きな方だが、ビルドという点では次の理由で物足りなくなる。

ようするにクラス育成は楽しみ尽くせない。というか楽しむ前に途方に暮れる。

 

>リスペックは容易だが装備選択は不自由

BG3は武器投げが強い。投げババ(武器投げ特化のバーバリアン)というのが一つの強いビルドとして成立しているくらい強い。

だが、全員投げババみたいなことはできない。なぜなら、投げババを成立させる装備が限られるからだ。

ここが分からない。多様なビルドを試してほしいと開発が言外に言いたいのかもしれないが、オール投げババは許さない。

 

コンパニオンも含めてリスペック可能で、背景設定がウィザードのゲイルをムキムキの戦士で遊んでもいいのに、装備が足りないので初期クラスがバーバリアンのカーラックと並んで投げババにすることは難しい。

なぜ?

クラスは選べるのに、装備で制限かけてくるのがBG3のビルド環境だ。

 

>ほんとの自由はない

自由なようで、自由じゃない。

戦闘が強制パズルだし、サブクラスも含めて40以上あるといっても装備でビルドは一つにまとめることはできない。

戦士、ローグ、呪文使い、呪文使いといった"バランスのとれた"パーティを組もうにも、それを満たすためには各クラスに精通していかないといけない。そのための情報サポートはない。

しかもランダム戦闘はないためXPは限られる。常に一定の範囲内でレベル制限をかけられているのに等しい。

 

項目 BG1 & 2 (旧作) BG3 (最新作)
戦闘スタイル レベル差でのゴリ押しが可能 環境ギミック利用が半強制
成長の自由 ランダム戦闘でXP無限稼ぎ 固定戦闘のみでレベル制限
テンポ テキスト処理で迅速 ダイス演出で中断
ビルド エクスポート等で「神」になれる 装備依存で「型」にはまる

BG1と2は違う。休憩連打でランダム戦闘を発生させ、XPを実質的に無限に稼ぐことが出来る。その上でシナリオを攻略できる。装備はBG3より少ないが、レベルで調整可能なため不便に感じない。

 

BG1でわたしが好きなルートはこうだ。

プロローグ終了後の1章に入ったらイモエン加入、何も考えずにマップ下端から出てハイヘッジに入る。そのままエリア左端に進んでソードコーストへ。

ここで休憩を連打する。ランダム戦闘でセイレーンが出現するので初手にイモエン所有のマジックミサイルのワンドを撃つ。燃え尽きるまで叩く。

けっこうなXPと店売りで金策になるパールを獲得する。それから1章スタートマップに戻って本格的にスタート。

 

あるいはエクスポートとインポートを使えばもっと好き放題できる。マニュアルやトームがあれば無限に能力値を伸ばせる。ゲームの上限25まで簡単に上げられる。まさに神の領域、俺TUEEEがやすやすとできる。

だが、BG3にはそれができない。

いくらか育ったキャラクターを最初から使うという事もできない。

 

この手の制限がBG1にはない。

フラグも何も関係なく、ほとんどのエリアに好き放題に侵入できる。準備が整わず突撃すると簡単に死ぬが、ちゃんと対策すればレベルが低くても攻略可能だ。

BG2はBG1ほどの自由はないが、上級レベルでの冒険が出来る。BG1ではシーフのレベル10が最高だが、BG2ではファイターなどでレベル40に到達可能だ。呪文もレベル10まで行使できる。

 

BG3は、続編が製作されないことがアナウンスされている。

 

わたしにとって急所だったのは、戦闘がいちいちパズルになっている点だ。それが言語化される前から何か窮屈なものを感じていたが、「あ、これって自由という体裁でパズルを強制されてんだ」と思った瞬間、もうダメだった。

そう思うと休憩、クラス制、あれやこれやが全然自由じゃないと気付いてしまった。

 

誰だったか「本は出版するまでは筆者のものだが、出版されれば読者のものだ」という趣旨の発言をしていた。

ゲームも同様だろう。BG3の開発は一定の枠組みで遊ぶことを強要しているようだ。

しかし私は買ったゲームは自分で好きなように遊びたい。それを邪魔してくる制限が必要だとは思えない。

 

XP制限という点でもっともよく共感してもらえるだろう別のゲームタイトルを挙げようか。「タクティクスオウガ リボーン」だ。なんでシナリオ進行にあわせてレベル制限されなきゃいけないんだよ!

わたしにとってはこのリメイク作品とBG3は同列にある。BG3はさらに制限が多いゲームのように感じるようになってしまった。もっと遊べるはずだったのに。かなしい。