Fallout 4は、奪われた息子を探しにパパ(ないしママ)がポストアポカリプスの世界に踏み出すシングルプレイRPGだ。
日本では2015年12月に発売。PC(Win)ではsteamでプレイできるほか、プレステ、Xboxでも遊べる。
わたしはsteamで1300時間ほどプレイした。それでも無性に再プレイしたくなる。
中には8000時間以上プレイした猛者もいるゲームだ。
そんなFallout 4を今さらレビュー。
ゲームは戦前から始まる。きれいな家、やさしい家族(妻ないし夫そして息子)、最新家事ロボットのコズワース。
ところがテレビが核戦争を伝えるニュースを流し、世界は一転する。家を出て核シェルターへ。家族三人仲良く冷凍睡眠。そして覚醒。なぞの集団に妻(あるいは夫)と息子を奪われたパパ(あるいはママ)は核戦争で崩壊した世界に踏み出す。
>将軍とおだてられて世話係。言われるままに東奔西走
導入はこんな塩梅だが、プレイはもうおだてられて世話係させられるRPGといっても過言ではない。
順当にプレイすれば序盤の最初のヤマでミニットメンという民兵組織と知り合うのだが、そのリーダーのプレストン・ガービー。お前はなんなんだ。ちょっと助けてもらったからといって、見ず知らずのパパ(あるいはママ)に将軍の称号を与え、次から次へと居留地開拓を依頼する。
で、そこらじゅうの困った人を助けて拠点開発するのはいいが、今度は拠点が襲撃される。それをほっぽっとくと拠点がダメージを負う。
おい、俺がいたらミサイルタレットが野盗をさくさく蹴散らすだろうが。なんで俺がいなきゃ施設が壊されているんだよ!
こんな調子で世話係。無視ししてもいいが、まず戦前に暮らしていた家に居座るため、自分の拠点周りをうろつく迷惑な隣人ともいえる。で、親密にしようと接すると、そこら中の困った人の手助けを促され、複数の拠点開発を命じられ、そして拠点防衛に従事させられる。
おい、ふざけんな!
これがミニットメン。人助け大好き集団。文明の崩壊した戦後世界の一服の清涼剤、か?
どうもパパ(もしくはママ)頼みのような気がしなくもないが。
将軍とおだてて「人助け」とやりがいを刺激して、その実、上流から下流まで世話させる。ミニットメンの辞書だと将軍=世話係なんだろうか。
>息子のいる世界は戦前技術のはるか先
そこで当初の目的を取り戻し、息子探しに一心不乱。再会する父(もしくは母)と息子。
この衝撃たるや。ダースベイダーがルークのアレだと露見した瞬間に匹敵する。ああ、ここはぜひ初見の人は情報を入れないでプレイしてほしい。発売から10年も過ぎて初見もないとは思うけど。
この息子が匿われたのがインスティチュート。崩壊した世界で科学技術を維持発展させてきた組織。
そして、シンスという人造人間を生み出した連中でもある。その開発理由は身勝手そのもの。
いわゆる学究バカ。勉強はできるけど人間が何たるかは今一つ理解できていない集団。
このインスティチュートに染まった息子氏から、パパ(もしくはママ)はジレンマに追い込まれる。
なんでふつうに家族を取り戻させてくれないんだよ!
というか、昨今のアカデミズムは人間理解とセットだと思うんだけどな。
なんであんなキテレツな組織が出来上がるんだろう。その方が面白いからっていう理由だと身も蓋もない。
もうちょっと説明が欲しいと思う。息子がなぜその道を選んだのか、とかね。ゲーム上の説明だけだと今一つピンとこない。
>過激な保護団体で人助け
このインスティチュートが開発したシンスを人間と同じように保護して人生を取り戻す手助けをする集団もいる。レイルロード。
観光巡りの最終地点でゲートをくぐるとコンニチハ。いきなり照明と銃口を向けられる。
なんとレイルロードの本拠地。どうしてこういう回りくどい方法で拠点防衛しようとしてんのさ。
パパ(あるいはママ)みたいな人が来ないなんて言い切れないでしょ。
このまま衝突かと思いきや、怪しいサングラス男が割って入って勧誘し始める。
おい、どうしてこうなった?
ここで加入するとシンスをインスティチュートの奴隷から解放するという崇高な目的に参加させられる。
言われたままに向かっただけのはずが、「本部の者は頼りになる」とか言われたりして。「いや、わたしは迷って勧誘されただけの新参者です」などとディスプレイの前で言い訳してもむなしい。
勝手に戦力にさせられるという点では、ミニットメンとあまり大差がない。
こっちの方は大仰な称号がないくらい。「人助け」という点では、あまり違わない。強いていうなら、こっちの方が秘密組織っぽい雰囲気がある。拠点も地下だし。
ああ、あと重要なのがバリスティック・ウィーブ。まるで映画「ジョン・ウィック」の世界のように、ただの衣服に普通じゃないレベルの防御ボーナスを加える超技術。
これがあるから、どんなプレイをしようが必ずレイルロードとは接触することになる。あるのとないのとでは生存率が全然違う。
がっつりコンバットアーマーを揃えるより、バリスティック・ウィーブ込みの野球ユニフォームの方が強い。
そう、バリスティック・ウィーブは確かに強い。狙ってレイルロードに接触するのもいい。そのまま人助けをやるのもまたよし。
とはいえ、レイルロードの人助けは、シンスの逃亡と記憶消去がセット。いいか、記憶消去とセットだ。
自分が何者であるかの根源は、結局のところは記憶だろう。それをそっくり奪い取って人助けだと言い張るレイルロードは、本当に人助けしているんだろうか。
この辺の穴埋めをDLC「ファー・ハーバー」では答え合わせしてくれる。別に気にしなくても楽しめるが、気にしてみると一層楽しめる。
>国家なき軍隊に忠誠の意味とは?
インスティチュートとは別のアプローチで科学技術にアクセスする方法もある。
飛行艇プリドゥウェンや小型ヘリのベルチバードといった航空兵器を揃え、パワーアーマーというトルーパー兵のような全身装備に身を固めたエリート兵などで構成されるB.O.S.という組織がそれだ。
インスティチュートが純粋に科学技術の維持発展を目指していたのに対して、B.O.S.は世界の科学技術を収集し、自分達で独占する。言ってることはちょっと違うがやってることはそういうこと。
ここはまるっきり軍隊文化。
構成員は階級が付与され、規律で事業をドライブする。
ミニットメンやレイルロードが「人助け」というくくりでやりがい搾取してくるのに対して、B.O.S.は組織の規律と忠誠でコントロールしようとしてくる。
しかし国家の軍隊ならともかく、もはや国家という概念が崩壊した世界で忠誠とか言われてもピンとこない。
本国アメリカではこのB.O.S.が人気だと聞くが、わたしは一番苦手だ。忠誠とかいうけれど、その対象がどこなのかも明白に言えない集団とは付き合えない。
ミニットメンないしレイルロードは人助け、インスティチュートは息子という因子がパパ(もしくはママ)を引き付けるが、B.O.S.にはこの手の誘因が全くない。というか、わたしには全然感じられない。
この4派閥とはプレイしていればいずれは接触する。そしてエンディングに向けてはいずれかの派閥の目的に合流する形で収束していく。
ちなみにわたしはレイルロードとインスティチュートでしかエンディングをみていない。無限に人助けを頼んでくるミニットメンと国家なき忠誠を押し付けてくるB.O.S.はウマがあわない。
さらにいうなら、最終的に他派閥の攻撃に向かうラスト・シナリオがわたしは好きではない。だから終わらない。ただ、崩壊した世界で息子と会い、あるいは無視して世界にアクセスする。その方が楽しい。
>改造も育成も自由、しかし自由とはなんだ?
わたしにとってのFallout4は以上の4派閥にみられる明白なポジションと対立が最大の魅力だ。あとはもっと身近な存在としてコンパニオン。これもまたいい。前述のプレストンも同行してくれるし、コズワースも核戦争を生き延びてパパ(あるいはママ)と一緒に崩壊した世界を探索してくれる。
レイルロードの先輩エージェントで嘘つきのディーコン、B.O.S.で上司になるパラディン・ダンス、プロトタイプのシンスであるニック・バレンタイン、遺伝子改造された緑の大型種族スーパーミュータントのストロング等々。
まあ、ここまでは褒め要素といえるだろう。将軍=世話係とか学究バカとか書いたが、あれは愛情。ほんとにイヤならもっと辛らつな言葉が並ぶだろう。
コンパニオンも魅力的だ。それは派閥ほどではないにせよ、やっぱり世界を多くの視点で観察するきっかけを与えてくれる。彼女・彼らから見た世界は、プレイヤーである自身とは違う物差しで世界を知覚している。その一端をセリフの端々から伝えてくれる。世界に厚みが生まれる。佳い。
他はなんというか、形式上はいろいろ実装しているが、あんまり評価はできない。
武器も防具もさまざまに改造できて、序盤から終盤まで使っていける。パーク次第だけど。
そう、パークだ。本作ではレベルが上がるとポイント一つもらえる。これでパークを一つ獲得したり、SPECIALといわれるステータスを上昇させたりする。
が、これが結構、固定的だ。電子キーを解除するハッキング、物理錠を開錠するピッキングは取りたい。クラフトするのにもパークがいる。拠点開発にも必須のパークがいくつかある。
などといった調子で自由度はびっくりするくらい狭い。どれでも好きに取れるといって、本当に自由に取り始めると不便を感じる。必須級を先にとると自由度が狭い。なんだこのつまんないシステム。
武器改造も同様で、確かにいろいろ伸ばせる。だけど、パークがいる。そしてレジェンダリーといわれる特殊な性能アップはランダム取得に頼るほかない。
「爆発」のショットガンとか、「ツーショット」のライフルとか、あるのとないのと大違いの装備は、改造ではなくランダム取得になる。
その救済策なのか、店売りしているユニーク装備もある。そう、ユニーク装備は店で買えてしまう。なあ、店で買える強いユニーク装備と言われてワクワクできるプレイヤーってどれだけいる?
難しい探索の末に手に入れた伝説の武器ではなく、ただ店売り。かなしい。
拠点開発も同様。セーブ圧迫への対策なのか、タレットや建造物は無限には設置できない。スポットごとに容量が決まっており、その範囲内でしか設置できない。
がっちりコンクリートの高い壁で防御して、壁の上にはズラリとレーザータレットを並べよう!なんてことはできない。
>できないことへのアンサー、MODとコンソール
できないことばかり書いて申し訳ない。しかしこれは本当だ。自由なくせに不自由。意外とやれる範囲は少ない。
そこで朗報。自由を拡張する手段はある。それもいくつも。
一つはMODだ。
プレイヤー有志による改造プログラムで、武器を追加したり、登場NPCのビジュアル変更したり、公式以外に拠点スポットを追加したりと、ありとあらゆる仕様変更を楽しめる。
その分、探すのは大変だが、それもまた楽しみの一つだ。ただし導入は自己責任。データがヘンな具合になっても誰も助けてくれない。そしてものによっては実績がとれなくなる。気にする人は二の足を踏むだろう。
そこでオススメなのはコンソール。
公式公認かつ強力で圧倒的自由を提供する。
コンソールでできることの一例
- いきなりXPをドサッと獲得してレベル100からゲームスタートできる
- 自分の好きな武器に好きなレジェンダリーを付与できる
- 一切のダメージを負わず弾薬も減らないモードがある
- 先に進みたいのに壁が邪魔。すり抜け可能
MODとは違うアプローチで自由度が拡大する。
代償はゲームの寿命が短くなる。
なんだかんだいって挑戦をショートカットするというのは、ゲーム設計に反することなので、開発が想定した難易度が簡単に崩壊する。崩壊した先のなんでもアリは退屈なゲーム体験になる可能性がある。
試行錯誤の末に見出すビルド構築の喜びを、大量のXP獲得は無にしてしまう。
無敵モードは戦闘の緊張感を奪う。
すり抜けモードは探索の意義を失わせる。
これらは完全にプレイヤーにゆだねられる分、文句の持って行き場もない。MOD以上に自己責任ではある。
ただ、周回プレイするのに最初からイチからやらされるのはやはりかったるい。そこをショートカットする分には便利だ。
セーブ&ロードでレジェンダリー厳選したっていいが、それをするくらいなら好きな装備に好きなレジェンダリーを載せればいいではないか。
わたしはそう思う。
仕様上、Fallout76の方がUI周りで快適になっていたりはするようだ。しかしあれはマルチプレイ。他人が絶対に入り込む。自分の思い通りの世界には絶対にならない。
そういう意味では現行の環境で自由を満喫できるFalloutは4ないしNVしかない。NVは4よりさらに古く、明らかにUI周りは不便だ。収納するつもりでボタン連打していたら全部バッグに入ったとか、ほんと溜息が出るような不便は4にはない。
他方でユニーク装備がちっともユニークではないとか、なんだかんだでパパ(もしくはママ)に全部押し付けてくる世界とか、見た目上の自由しかない育成周りとか、そういう不満はNVにはない。もしくは圧倒的に少ない。
わたしにとってFallout4はFallout: NVとセットだ。
相互に不足している部分を補う。
いったりきたりする。息子そっちのけで人助けしたあとで、名もなき運び屋になって積み荷を奪ったカジノオーナーを痛い目にあわせる。
クラフト要素が貧弱でゴミがただのゴミに見えてくるころ、再び息子のいる世界に戻る。
つまり両方あってこそ。
どっかの監督が総プレイ時間8000時間を超えるとか、それを目指すとなると私には二倍の時間がいる。ちょっと想像がつかない。
あなたにとってのFalloutはどうなんだろう。よかったらコメントに書いて教えてほしい。
あなたの水商売がうまくいきますように。

>おまけ
プレイ時間で第2位が本作。その上をいくゲームとは?!
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