「かいじゅうたちのいるところ」
「はらぺこあおむし」
「モチモチの木」
「ピーターのいす」
「あんぱんまん」
「せかいいちのはなし」
など何冊か思い浮かぶが、これは外せない一冊となると「ごんぎつね」だ。
あらすじ
いたずらで人を困らせるごんぎつねが、いたずらを後悔して贈り物をするが、その贈り物は盗んだものだったため贈り先の村人がぶん殴られる。
さらに反省して自分で木の実などを採ってはこっそり家に置いていくことを繰り返す。
ある日、ごんぎつねが家から出ようとしたところ、家主の村人がそれをみつけ、いたずらをしたのだろうと銃を手に取り発砲する。家の中に入ると木の実が置いてあるのを見つけ、ごんぎつねに話しかける。「おまえだったのか」と。ごんぎつねはうなずき、息絶える。
子どもの頃はよく理解できなかった。贈り物をしたのに殺される割に合わない話のように思っていた(と記憶している)。
しかしよくよく考えると奥が深い。贈り物をして殺されたが、贈り物は盗品だった。贈り物を始めるきっかけは、いたずらで村人を困らせたからだった。もともとごんぎつねはいたずらで知られた狐だった。エトセトラエトセトラ。
つまり単純スッキリ話が完結しているわけではない。これを短いストーリーで語るところに作者の新美南吉のすごみがある。
世の中の出来事もえてしてこのようにできあがっている。善行一辺倒のことはなかなかなく、一部に負担をかけながら他方に利益をもたらす。ある人にとっては迷惑でも、別の人にとっては恩恵になる。こういうことの積み重ねだ。
他方で誤解や偏見などにより傷ついたり傷つけられたり、あるいは人が死んだりもする。絵本ならば悲しみながらも消費できるが、現実のこととなれば悲しいだけだ。
ごんぎつねは子どもの頃には理解できなくとも大人になって世の中を観測する手がかりになる大好きな絵本だ。
