次の週末は衆院選。どこに投票すべきか悩ましい。
そんな際にボートマッチを使う人は多いと思う。
一人で判断するよりよほど早く参考候補を出してくれるから便利だ。
が、どうも自身の感覚とマッチしていないように感じることはないか?
その感覚が正しいことを解説するのが本エントリーの目的。
あなたの感覚を惑わす質問の裏に隠された罠4タイプを紹介しよう。
私は「投票マッチング」で検索し、上位にヒットした6つのボートマッチを試した。
そこから一部の質問を抽出し、解説の素材としている。
(あ、この質問あった! モヤモヤしたんだ)と思うものがあるかもしれない。
そこにメスを入れる。モヤモヤを解きほぐす手助けになれば幸い。楽しんで!
>何を問われているか分からなくなる罠(ダブルバーレル質問型)
「消費税は時限的または恒久的に引き下げるべきだ」
大手新聞によるボートマッチに登場した質問。これの何が問題か。
一発で言語化できたあなたは大丈夫。これ以上は読まなくていいかもしれない。
分からない人、言語化できたけど付き合っていいよという人、どうぞ続きを楽しんで!
時限的か恒久的か。ここが問題だ。
文の構造上、時限的であれ恒久的であれ、消費税を下げてほしい人はこれにYesと回答することを求めているのだろう。
しかし
「時限的な引き下げは歓迎するけども恒久的には絶対困る」
「あるいは時限的に下げても意味がない。恒久的に下げろ」
これらの立場の人はどうすればいいのだ?
かなり不親切。
卑近な例に引き寄せて例えると
「あなたの大好きなカレーライスを昼休みに毎食もしくは一生食べ続ける環境を整備します」
などと置き換えてみてはどうだろう。いくらカレーライスが大好きだとしても「え?」とならないか。
何を聞かれているのか分からないはずだ。そして、その感覚こそが正しい。

この手の質問をダブルバーレル質問という。
私は本エントリーで詳細を解説しないが興味のある方はワード検索してみてはいかがか。
よりよく理解できること間違いなし!
>選択肢の一部を限定して真実を隠す罠(偽りのジレンマ型)
これはどうだろう。
「国民負担やほかの社会保障サービスを見直し、子どもを持つ家庭への経済的支援を大幅に拡大すべきだ」
これにYes / Noで回答するわけだ。
よく見かける。しかし私からすると、この手の質問は罠だ。
それを解説しよう。
質問は目的政策と財源を示している。
つまり
子どもを持つ家庭への経済的支援を大幅に拡充すべき(目的政策)
と
国民負担やほかの社会保障サービスを見直し(財源)
の二段階構成になっている。
では、子どもを持つ家庭への経済的支援を大幅に拡充してほしいが、国民負担やほかの社会保障サービスを見直ししてほしくない場合は?
別にほかの事業見直しでも拡充はできるだろうに、この質問はそういう構造になっていない。
とても悩ましいじゃないか。

この手の選択肢を誘導するものを偽りのジレンマという。
質問作成の際にやってはいけないとされるものの一つ。
他にも同様の質問様式はある。
年金財源のための高齢者負担を増やす
薬価を安定させるために負担を増やす
コメ農家を支援するため価格を維持する
等々。
なぜだろう。どれも私たちに負担させる方向で質問設定されている。
これは偶然か、それとも・・・?
私が問題視しているのは、設定された解決策しか我々は選べない点だ。
われわれがバカだと思って隠しているのか?
これは提案を示している体で、実際には思考を誘導しているに過ぎない。
非常に危険な設問だ。
先の消費税の質問もそうだったが、われわれ国民は本当に消費税を下げてほしいのか?
私は違うと考えている。
本心を言えば、手元に残るお金を少しでも増やしたいということではないのか?
だったら、別に社会保険料を引き下げしてもいいわけだし、住民税を下げるのでもいいわけだ。
別に消費税だけを下げてほしいわけではない。
>大ナタふるって中身を見せずに丸投げさせる罠(白紙委任状型)
あるいはこういうのもある。
「防衛費をGDP比2.0%より増額するか」
この設問、増額した防衛費がどういう目的で使われるか一切問われない。
航空機を買うのか。
最新式歩兵銃を部隊配備するのか。
イージス艦を増強するのか。
あるいは自衛官募集の広報活動を強化するのか。
駐屯地ないし基地の建物を更新するのか。
なんだこれは。何を聞かれているのか分からないじゃないか。
憲法改正の是非と同じだ。あれも中身を一切言わない。
変えるか、変えないか。そんなことを聞かれて困るという人が多いのではないか。
改正したくない人からすると言語道断だろう。
改正したい人も、改正したい方向に進めるかどうかはガラガラポンなんだから困るではないか。
>権力者の存在を隠して質問する罠(パワーバランス無視型)
「長い時間働きたい人には、残業規制を緩和してもよい」
働き方改革で一律に長時間労働に制限をかける。
その結果、働きたい人が不利益を被っているという話にしたいのだろう。
今回はその是非は問わない。それより大きな罠が仕込まれている面を強調したい。
この「長い時間働きたい人」とはいったい誰が判定するのか考えたことはあるか?
労働者たるあなたに経営者もしくは直属の上司あるいは人事担当者が聞いてくるのか?
「ねえ、キミ、長時間働きたいかね?」と。
この状況に長時間働きたくないあなたは「いんや。きっちり1日8時間で帰ります♪」などと答えられるのか?

最初はそう言えるかもしれない。
が、周囲に一人、また一人と長時間労働を選択していった結果、あなた一人だけが残る。
それでも断れるか?
私はよほど強固な意志がない限り無理だと思う。
政策は実際運用もある程度想定して示すものであって、少し考えただけでもディストピア労働環境しか見えないものを政策としてパッケージするのが間違いだ。
>結論:ボートマッチで選んだつもりが実はあなたの政治感覚を誘導している
以上4つの質問を取り上げ、隠された罠を4タイプに分類して解説した。
どうだろう、あなたがボートマッチを試したとき、何かモヤモヤした感覚に少しでも寄り添えただろうか。
モヤモヤを理解する手助けになれたのならば幸いだ。
私が思うに、この手の質問を繰り返されることでマッチングではなくハッキングされているような気がする。
つまり「政治は難しいもんだ。わからなくても仕方ない。わたしがバカなんだ」と思い込ませるゲーム。
その問題の是非が分からなくても仕方ないと思わせるゲーム。
もちろん、全部が全部、ハッキング質問だという気はない。
私はそこまでアナーキストではない。
ただ、現状では罠が隠された質問が全てのボートマッチで散見されることに問題があると感じている。
このままでは政治離れが加速したってちっともおかしくない。結果、一部政治家に私たちの生活が食い物にされる。
それは絶対に避けたい。
では、どうすれば私たちは政治を理解できるのか。
次はその辺を提案したい。お楽しみに!