きのけんぶろぐ

政治社会とエンタメを等しく興味をもって発信するブログを目指しています

術後4日目:日々の回復は大したものだが術前の水準ははるか遠く

14日(日)、術後4日目。

明け方の3時過ぎに目が覚める。どうにも腰が痛い。やむなくベッドを立て、腰を伸ばすことにする。

少しはましだが倒して寝られる感覚が戻らない。もう少し挑戦する。

 

ベッドの手すりを握り、引き寄せる。可能な限り腹筋を使わずに身を起こす。

うまくいった。ベッドの上で座るのに成功した。手術から一夜明けて無理矢理立たされた苦しみとは雲泥の差。自分一人でここまでこれた。ありがたい。

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小説「探偵はバーにいる」は狭いススキノが広がる軽妙ハードボイルド

東直己著「探偵はバーにいる」は、1980年代前半のススキノを舞台とし、映画や小説に出てくるような探偵を違和感なく落とし込んだ稀有な小説だ。

客引きに冷やかされながらバーに向かう男性。ダブルのスーツでロング・ターン、サイド・ベイツ、黒か紺のシャツに暗い色の派手ながらのネクタイ。この時点でウキウキしてくる。

 

現実の探偵業が浮気調査がメインで映画や小説のような刑事事件を個人依頼で請け負う探偵は存在せず、地味な存在だというのは2026年現在、多くの人が認識するイメージだとは思う。したがって、職業探偵は地味だが趣味や関心領域が突飛か、当人の外見ないし縁故関係や財産関係が特異というパターンになりがちだが、そこへもってきてビジュアルからやってくれるとニヨニヨしてくる。

要するに読者はコンチネンタル・オプやフィリップ・マーロウが読みたいのであって、品川めぐみを読みたいわけじゃないのだ。

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術後の食事は楽しみというよりトレーニングだった

13日土曜日。

今朝から常食になった。朝は薄いトースト3枚、ジャム、汁、和え物。

昨日の粥も苦行だったが、常食は常食で大変だった。流動食はイヤだが固形物はしんどい。

トーストは10枚切りだろうか。パンの耳がほどよく固く、うまい。ジャムはそのまま口に運んだパンにうまく塗って食える自信はない。

玉ねぎと人参のスープがうまかった。

牛乳は冷えていたので、真っ先に懐に落としてあっためた。冷えたものを飲み食いすると体調を崩しやすいからだ。

完食。なぜか涙が出て困惑した。現状、食事は楽しみではない。ほとんどトレーニングという気持ちで食事に取り組んでいる。

 

顔拭きにもらった蒸しタオルで丹念に目元、口元、顎のラインから耳の穴まで拭った。

ちょっと迷ったが、そのまま頭髪も拭き清めた。タオルが抜け毛で汚れた。申し訳ないと思ったが後悔はない。さっぱりした。

 

朝食後、下剤を勧められる。排便がまだないのがネックらしい。常食を食べれば変わるだろうと断った。

 

気付いたら少し寝ていたらしい。主治医の巡回で目が覚める。

土曜日に出勤。大変だ。

痛みや痺れもなく、朝からスマホでマンガも読めるようになったと伝える。

ベッドを使いながら身体を動かしてはどうかと主治医に言われた。リハビリがないから動けないと思ったが、なるほどベッドを使うのか。いいことを聞いた。

 

看護師二人に丸むきにされ、清められる。変な気分だ。してもらわないと尿道カテーテルの衛生面が心配なのは確かだが、半世紀近く生きた人間が無縁の二人にさらされて清められる滑稽さ。

これは40年以上前の乳児期の再来か、はたまたいずれ来るであろう老後の予行練習か。

不思議と羞恥心がないのは、自分自身、まだ身体が完全に自分の物になった自覚がないからだろうか。

 

スマホでマンガもだいぶ読んだが、笑うと痛いのが困った。

持参した本を読む。

「ニューロマンサー」

「ドラキュラ紀元」

「クライマーズ・ハイ」

「探偵はバーにいる」

から選んだのは、ススキノをぶらぶらしている《俺》が、大学の後輩からの縁でラブホテル殺人に関わる「探偵はバーにいる」だ。

読みやすいし、《俺》の踏みつけられても屈しない強さが面白い。

マンガのように笑ったりもない。傷口に優しい。

 

昼食。

ごはん。なすと豆腐の味噌和え、筑前煮。

粥も修行だと思ったが、白米もなかなかだ。しっかり噛まないと飲み込めない。

そして味噌和えも筑前煮も思った以上に味が濃い。腎臓を片方とって直後の常食で食べるメニューなんだろうか。病院で食えるなら退院後も好きに食べちゃうよ。

 

午後は友人が見舞いに来てくれた。ありがたい。元気が出る。

いろいろ話した。2時間くらい付き合ってくれただろうか。ありがたい。

 

点滴の針を交換する。決まった日数で刺し直しがいるらしい。

うまい看護師があたってよかった。一発で決まった。

 

夜勤ナースに交替。体温血圧酸素濃度測定。昨日の日中からそうだが微熱が続く。38度前半を上限に37度に入ったり抜けたり。

氷嚢をもらう。昨夜のことがあるからスマホのタイマーをセットする。

 

夕食。

ごはん。ブロッコリーのマヨ和え、白菜のあんかけ、白身魚。

あんかけには赤い刻みが入っている。紅しょうがだった。魚はサワラか。妻なら両方残すだろうな。わたしは食べきる。

しかし食事は面白い。舌が味を全力で受け止めようとしている。失われた体力を補おうとするのか、かなり敏感に味を伝える。

逆に言うと、こうやって感覚も強く刺激されるから疲れるんだろう。

 

食事後、看護師が食器を下げに来てくれた。ついでに体温測定してもらう。

38度3分。けだるさも身体の震えその他異変はない。39度、40度と高温にならなければ様子見したいと伝える。

昨夜に氷嚢をしたまま寝てしまい体温が下がり続けた話をすると了解してくれた。

 

あとは点滴。肘を曲げると入っていかないらしい。読書はお預け。

 

消灯前の巡回。点滴のセット。

便通がないため、明日の朝にも効果が出るという下剤の服用。

体温測定したところ38度4分。氷嚢を枕にする。まじでこのまま寝たくない。スマホでタイマーをセットする。

 

眠りに落ちかけた。

どうも寒い。点滴か氷嚢か、そもそも寒いのが思い過ごしか。

とりあえず氷嚢を首筋から遠ざける。

多少の微熱はほっといてほしい。切なる願い。

 

ちなみに明日、妻が見舞いに来る予定。ここが今のところ、一番の楽しみだ。

痛いしつらいし苦しいがまずまず良好

オペ室に移動したのが9時半、オペ室を出て気がついたのが9時半。12時間のオペ。

ネックだった右腎臓と尿管の全摘はうまくいったようだ。

予定は7時間だったから難儀な手術だったと言えるだろう。血管が人より多くて大変だったと聞いた。

 

まあ、それは全身麻酔で意識のない状態だったからいいとして、覚醒してからはひどかった。

傷口も痛いのだろうが、むしろ持病の腰痛がきつかった。集中治療室のベッドでゴロゴロ転がりながら痛みを我慢した。

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手術前日、外形上は平穏に

明日、手術だ。

3月に血尿があってから3か月。

長いような短いような。

 

思ってたよりも大変な手術になるようだ。

午前中にもスタートして昼過ぎに終わると思っていたが、実際には9時半スタートで7時間のオペ。

こっちは全身麻酔で眠っているから状況把握できるはずもないが、麻酔が醒めてからどうなっているんだろう。麻酔で痛みはないようにコントロールしてもらえるらしいが。

 

しかし最低でも相当に気持ち悪いはずだ。

痛くなくとも二つある腎臓のうちの右側を全部摘出してしまうのだから。

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「2日後に死ぬなら何をする?」を現実に体験したら普段通りで「しか」いられなかった

よく仮定の話で「1年後に死ぬなら何をする?」みたいなことを言ったりするが、実際にその経験をすると気が落ち着かないものだとよくわかった。

私自身の話だ。

 

わたしは尿中からクラス5のがんが検出されている。

6月10日に手術を予定している。

手術が失敗すると決まった話ではないが、術前にいろいろと聞かされると楽しい気分にはならない。

死ぬリスクもある。死なないまでも臓器を摘出する以上、以前と同じような生活は戻らない。

 

で、先ほどの話だ。「2日後に死ぬなら何をする?」と。

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